初演をみたときのメモが出てきたので、供養もかねて置いておきます。
読ませる気マンマンで書いているんだけど、どこにドロップする気だったんだろう……。
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見てきました。通称「みほとせ」。
大倶利伽羅くんが本物過ぎて狂ってしまい、当日券並びまくって、何とか4回入れました…運を使い果たした感はありますw みほとせのなにがよかったってストーリーがとにかくよかった! ってことで、少々長くなりますが、備忘録も兼ねてつづります。
物語は石切丸が「任務」の手記を書きながら振り返るところから始まります。
そこに表れる大倶利伽羅。なんでこの2人なのか。
それは後々見ると分かるのですが、この2人は対な存在として描かれているんです。石切丸は人々が祈りをささげる刀。争いのための刀じゃないんですよ。
対する大倶利伽羅は戦のための刀。それぞれが平和⇔戦の象徴として存在していて。
だからこそ衝突するんだよね……これはまた後ほど。
そして村正が顕現。
個人的にこの話に村正を出してきたことが最高すぎて。
ゲームの実装の時期とかいろんなプロモーションもあって、もしかしたら刀を先に決めてそっからのストーリーだったのかもしれないけれど、村正といえばみなさんご存知の通り、徳川家に災いをもたらす刀なんですよ! それが! 徳川家を! 守る任務に就くんですよ!
なんというパラドックス。たまんない。
遠征途中で時間遡行軍の戦いに巻き込まれた、にっかり青江と大倶利伽羅。
うっかり赤子を助けると、なんとそれはのちの徳川家康。
改変されかけた歴史を元に戻すため、刀たちは徳川家の家臣になりかわり、
徳川家康を育てることになります。
まさかの成長を見届ける超ロングスパン任務。
この「時間の長さ」っていうのがこのストーリーに重みを出してるのかなと。
時間をかけて関わると、人には「情」がわいてしまう。
人の形になった刀の神様にもまた「情」がわいてしまうんだよね。
これがしんどすぎる。
子育てする刀とか、なんだこれピクシ…いやなんでもない。
時間の流れはもちろんダイジェストなんだけど、ココでの曲「かざぐるま」が秀逸なんですもう……風車が回る姿ってのは時間の流れの暗喩だろうね。
そして信康が生まれます。
この信康が、物語のキーマンなわけでして。
まあ日本史専攻してなかったの言い訳にするんですけど、信康が史実で切腹させられてるとか知らなかったんですよ。だから、初見のときは、他の刀たちと同じく動揺しました。
え? 何いってんのマジかよ……。でも、我々は審神者ですから、察するんですよ。
刀剣男士の使命は「歴史を守ること」。
そう、史実どおり彼を殺さなければいけないんです。
もう情がわきまくってます。しんどい。こんないい子、殺さなくちゃダメ?ねえダメ?
それをすべて分かった上で、手塩にかけて育てた石切丸。二回目以降はもう、この子を抱いているだけで泣けます。一人で背負おうとする石切丸と、その辛さを分け合おうとする刀たち……なんて!優しい!物語なんだ!
石切丸が、戦闘のときバッサバッサ人斬ったあと、ふと我に返ってスローになったシーンが印象的でした。1人だけ戦を客観視して、心を痛めてるんだよね。
だから、大倶利伽羅が、戦のあとに「こんなものか」といった言葉にガチ切れする。2人が刃を交えるシーンで、石切丸は大倶利伽羅に「君の剣は軽い」って言ってました。それはたぶん、命の重さを知らないから、なんだと思っています。いままで意識が向いたことがなかったんだろうね。
そんな大倶利伽羅に妙に懐き、剣術を教えてもらっていた吾兵。彼の死を通して、大倶利伽羅は命の重さを知り、再び石切丸と刃を交えたときにこういわれるんです。「重くなった」と……。任務を通じて(と言うよりも、彼らとの心の交流を通じて)変わったことを、石切丸はちゃんとみてたんだよな。
そうそう、倶利伽羅くんのおなじみワードといえば「馴れ合うつもりはない」ですが、吾兵が死んだときに「だから馴れ合いたくなかった」っていうんですよ。つまり、「馴れ合いによって大切なものができてしまうと、失ったときにとても傷ついてしまうから」ともとれるんです。なんてやさしい子……。
そんなこんなで、物語はいよいよ佳境へ。
史実どおりに、信康を殺さなければいけません。石切丸は心を鬼にして、信康を斬りに行こうとします。「理由がないのに殺していいのか」と止める物吉くんに対し「どんな理由があっても、殺していい命などない」と返す石切丸。誰よりも命を大切にしている石切丸だからこそ重みのある言葉だし、刀剣男士としての葛藤もあったんだろうね。そして、ひとり去る石切丸を追いかけ、つらい役割を分け合おうとする青江。何も言わずに、でも青江の言葉に同調するように後を追う倶利伽羅くん。そして、僕も…ってなった物吉くんを制し、汚れ役を引き受けるのが自分の役割だといわんばかりにでていく村正と、蜻蛉切。ほんと、この子たちはなんなんだよ!
そしてついに、信康を……斬れません。石切丸がためらっていると……なんと検非違使登場。この検非違使がとても強く、信康は石切丸をかばおうとして斬られてしまいます。皮肉なことに歴史は守られてしまったわけですが、刀たちは必死で戦います。そしてフラッシュアウト……。
ラストは、老いた家康が、刀たち(まあ家臣なんですけど)に最期の思いを語ります。戦をなくしたかったのだと。そして、信康のことを悔やんでいると、そこに現れたのは百姓の姿をした信康でした。なんと、あのとき死んでなく、百姓の吾兵として生きてたのです! 歴史的には死んだも同然だから、歴史に干渉することもなかったんですよ。吾兵と出会わなければ起こりえなかったifの世界。やさしい、どこまでもやさしいよ。
そして、エピローグにまで愛があふれていました。
タイトルにある三百年とは、徳川幕府が続いた年数。子守唄は、家康が築き上げた平和の象徴でもあるんだろうね。突拍子もない設定でしたが、心を強く動かされました。
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なっがいな!
当時そんくらい熱に浮かされてたんですよ。再演と比較する参考に……ならないか。ならないだろうけど、供養!w