『映画刀剣乱舞-黎明-』観てきました

やっと公開された『映画刀剣乱舞-黎明-』。アタシは初日の舞台挨拶中継付きの回と、翌日の4dx上映に行ってきました。いま、ホカホカの気持ちのまま思いを書いていきます。バレもネガもあるので、楽しい気分だけでいい人はこのブログをそっ閉じしてください……

 

 

前作、個人的には最高だったんです。歴史ミステリーとでもいうべき脚本と、刀剣男士と歴史上の人物、審神者との距離感、全てのバランスが絶妙でした。前作のエントリも貼っときますね。今読み返すと、内容も何もない、興奮だけのやつだけどw

 

ucok.hatenablog.com

 

 

ってなことがあったので、期待値がめちゃくちゃ高かったんです。この監督と座組だったらきっといいものにしてくれるはずだって。しかも、平安時代だけじゃなく、現代も舞台になるって言うじゃないですか。現代への出陣は、公式メディアミックスではこれまでなかったんですよ(刀ミュの『東京心覚』も「現代」と言うにはちょっとふわっとしすぎてるので)。しかも仮の主っていう新しい概念も登場するとのことで、ワクワクするなって言う方が無理でしょ。

 

さて、蓋を開けてみると……びっくりするほど脚本が雑!!!!!!!!!!!

 

いや、面白くないか面白いかで言ったら最後にひっくり返って手を叩くくらい面白かったんだけど、正直なかなかにストレスな時間も続くから、両手をあげてサイコー!っては言い難かったんだよね。

 

以下、ちょっと気になっちゃったポイント

 

平安京の「鬼退治」は実際の鬼ではなく、まつろわぬ民の虐殺だった。そこで斬られた酒呑童子が呪いに転じ「鬼」になったいささか説明不足ではあるけど、それは読み取れる範囲なのでわかる。

 

・その現場を目撃した山姥切国広が巻き込まれて呪いを受け、心を奪われてしまったまぁなくはないだろう。刀に血がべっとり着いておりましたし。

 

2012年は人が審神者になるかどうかの分岐点刀剣乱舞サービス開始前で、国宝展で三日月宗近が展示されたっていうメタな理由だろうけど、まぁそういう設定なら受け入れよう。

 

2012年に山姥切国広がやってきて、伊吹を仮の主とした

 →いや、なんで????????????

 

ここの説明ががっぽり抜けてるんだよね。伊吹と山姥切国広の出会いがさっぱりわからない。2012年に飛ばされて出会ったのかなんなのか。ミリでもいいからそこをやってくれないと、「なんでそうなった?」しかない。悪い意味で、特撮作品の「細かいことは気にすんな!」がでてるんだよな(特撮はめちゃ好きですよ!)。「伊吹童子」と同じ「伊吹」だし、親に疎まれたっていう伊吹童子の伝承なんかもインスピレーションにはなってるとは思うんだけどさぁ……

 

せっかく平安のビッグネームや、とうらぶ的にもめちゃくちゃ関係が深い頼光や綱を出しておきながら、映画に箔をつけるための予告用要員でしかなかったのが残念すぎた。「鬼ではなく人を斬ったにもかかわらず、歴史ではただ『鬼を斬った』としか伝えられていない」っていう設定、なんぼでも美味しく料理できるはずでしょう……? 「一生懸命生きているだけなのに悲惨な目にあった」という一点だけで伊吹と呼応するのが、ご都合主義と呼ぶにしても雑すぎる。

 

幸運なことにアタシたちは、この数年間でたくさんの良質な脚本の刀剣乱舞メディアミックスを観ることができた。刀剣男士そのものを描かなくても、刀剣男士の物語を描くことはいくらでもできるし、人間キャストがいるからこそ刀剣男士という存在が立体的になるっていうのを刀ミュと刀ステでずっと見てきたんだよね。だから余計に思ってしまうんだよな。「人間ドラマ」は「人間でドラマを作る」ってことではないんだよ。

あと「解説や考察読んだら2回目はわかりやすかった!」みたいな感想も結構見受けたんですけど、いやいやいやいや、息を吐くように複数回行くのはオタクだけだし、「2回見ないと分からない」は「2回目では見え方が変わる」っていうのと、行くと来るくらいの違いがあるぞ!?

 

伊吹にめちゃくちゃ重い設定を背負わせてるくせに、描き方がうっすいせいで感情移入ができなかった。そして薄いまま冗長に描かれる説教パートと回想。彼に語りかける琴音ちゃんがめちゃくちゃ言葉を選んでいるのはわかっているけど、恵まれた子からの言葉で心を動かされるとか、その程度の呪いなのか? 全てにおいてバランスが悪すぎる。人の理は人の理で解決しようとしたのはわかるけど、あんなに悲惨な思いをした伊吹が結論として「あの時弟を止めなかった俺が悪かった」って自罰的になるのあまりにもすぎたよ……。キミは世界を呪っていいよ!何でそんなセリフを言わせたんだ。どんな残虐なシーンよりも、それがいちばん残酷だったな。虐待は親が100で悪いだろうが〜〜〜〜〜!

 

歴史に名を残さない人たちにも思いがあるのと、歴史の中では悲しい役目を背負わされる人がいるっていうのを雑に掛け合わせてしまった、キメラみたいな脚本だったなって感じています。これはもう、演出では取り返せないよ……

 

 

さて、こんなにグデグデいってますが、2回見たってことはそうじゃなかった点もたくさんあったってことです。

 

やっぱりね、この作品、これに尽きると思うんですよ。

 

渋谷での最終決戦に、いろんな本丸の刀剣男士が来て共闘したよー!!!!!!!!!!

 

まさかのレイド戦じゃないですか! なんとなく他の刀たちも出るのかなーって思ってはいたけど、く、く、倶利伽羅江??????映画本丸にしかいない倶利伽羅江がいるの?????そして緑の……え??????刀ミュ本丸の石切丸さん??????????は?????????????

それまでのモヤモヤした気持ちがここで全部吹っ飛びました。ラストで全てチャラにするとか最強に卑怯な手段だと思いつつも、こんなの大好きで抗えるわけがないんですよ。スクランブル交差点でのド派手な大立ち回り。最っ高にかっこいいカメラワークと、映像ならではのアクション。これこれこれ、これが見たかったのよー!

 

そして、推しの山姥切長義がめちゃくちゃかっこよかったった!!!!!!!!(バカの感想)

原作のせいではあるんですけど、長義とまんばちゃんの描かれ方って毎回頭が痛くなるものが多くって、それがどうしても苦手だったんですよね。どっちかサゲになるのも嫌だし。(刀ステの慈伝と、花丸雪が受け入れ難いタイプの女です)だから今回は「違う本丸」かつ「政府の刀」だっていう前提もあって「偽物くん」っていってもそこまでじゃないし、三日月による「うちの本丸の山姥切国広」っていうフォロー含めて完璧だった。仮の主との関係性はもっと見たかったなー。各務さん、たとえ長義が消えても狼狽えることなく職務をまっとうしてたし、渋谷に長義が戻ってきた瞬間の表情で全部語ってたじゃん。信頼しかない……

 

始まる前から話題になってた、長谷部とギャル審神者もよかったね。執務室でのギャルの振る舞いはギャルってかキャバ嬢で「男の人が描くとこうなっちゃうよな〜」って残念にはなったけど、そのコミュ力含めて愛おしかったし、名乗りで全部がさいっこ〜〜〜〜〜ってなりました。あぁぁぁぁ黒田さんちの「何か」だ!!!!!!子孫かどうかまでは明言されてなかったけど、「何かしらの縁」があったから長谷部の仮の審神者になったんだろうし。名前を呼ぶことに大きな意味を持たせていた本作で、最後に「へし切り長谷部」って呼びかけるのもいいですよね。「へっしー」もかわいくていいですが。渋谷の決戦で「主に仇なすものは〜〜」って斬りかかってたけど、ここで指している主は実弦ちゃんのことでしょ?ねぇ、へっしー?

 

源氏と神主の関係はもっともっと見たかったよ〜〜〜〜〜。子々孫々まで語り継ぐっていってたから、もしかしたら1作目の審神者に繋がる人なのかなってなったし、絶対愉快なやり取りあったじゃん?極がきたのも仮の審神者審神者パワーみたいなのが強かったからとか、なんかきっと意味があるわけじゃん?もっと見せろオラ〜〜〜〜〜〜〜!

 

実は、三日月と琴音ちゃんの関係にはあまりグッとこなかったです。ここはもう趣味というかあれな話で申し訳ないんですけど、我々が感情移入しやすいような存在として出したっていうのはわかるけど、それが女子高生っていうのがどうもこうも、おっさんの理想みたいなのが透けて見えて気持ち悪くてですね……これはもう、ほんと出来の良し悪しとかじゃなくて単なる趣味の話で、アタシの言い掛かりみたいなやつです。三日月さんのウインクで万事解決されたい人生だった……

 

あ、4dxはめちゃくちゃ楽しかったです。例の高速バスの揺れはもちろんそうなんですが、刀剣男士が登場したときに桜がぶわ〜〜〜〜〜って舞うあの感じを体感できるのが良かった!そういうの好き!

 

ってなことで、映画刀剣乱舞に関しては「心がふたつある〜〜〜〜」ではあるんですけど、だからこそ続編が見たいと思ってます。その際はどうかちゃんとした脚本とウイッグ(どさくさ紛れにdisるな)をお願いいたします!三日月宗近が「顔」なのはわかるけど、そろそろ他の刀たちの映像作品も見たいです。金なら出す!(チケット代)