2.5次元 of the year 2018 2位

さて2位です。

今年は訳あって土日しか観劇できないマンだったので(ただの仕事だよ!)その中ではいちばん回数を重ねたのがこの作品でした。


2位

ミュージカル刀剣乱舞 〜結びの響、始まりの音〜


ド派手な二部の演出に目を奪われがちですが、刀ミュくんの本質はストーリーにこそあります。刀たちは毎回葛藤し、向き合って、自分自身で答えを見つける――。この作品は、その様子がとても丁寧に描かれてました。


通称「むすはじ」(むすびね、とか呼び方いろいろですが、今回はむすはじでいきます)は、幕末も幕末。もう明治に入ってからのお話です。

幕末で新撰組で明治で「結び」なんて言われたら、歴史好きならピンとくるよね。そう、箱館戦争。なんなら活撃で履修済ですよね!? 新撰組の鬼の副長こと土方さんは、この戦争で命を落とします。


ってなことで、物語の中心は当然土方さんの愛刀・和泉守兼定

そして、兼さんと対になる存在のふた振りが、龍馬の愛刀・陸奥守吉行と、典礼用の薙刀・巴形薙刀


むっちゃんとは、主同士が対立していたということにはあまり重きが置かれず(まぁ兼さんとの相性はよくないけれどもw)、それよりもむしろ「主の死を目撃しているもの/これから受け入れなければいけないもの」としいう対比が描かれてた気がするな。

人の姿になることで生まれてしまった「心」と折り合いをつけながら、自分の役割と向き合い、どうすべきか葛藤する姿は、ひたすら泥臭くまっすぐで心を打つ。見守るみんなもやさしかったし、その対比として描かれるむっちゃんの達観した姿は、かえって辛かった。


そして、巴形とは「物語を持たないもの/物語をもつもの」の対比が描かれる。

新撰組は比較的時代も近いこともあって、それぞれの物語が鮮やかで色濃く残っている。

対する巴形は、巴形薙刀の集合体で、特定の主を持たず、それ故に物語も持っていない。新撰組の刀たちの葛藤を俯瞰しながら、さらに物語を持たぬ刀たちにも想いを寄せる。自分のもう1つの可能性を目の当たりにしたわけだしね。


刀の時代への終わりへと進む物語は、悲しくて切なかったけど、それぞれが互いを思いやっていて、とてもやさしい物語でした。すべてを受け入れて、そして受け止めてくれたトシさんの漢気が最高だったな。


2019年秋には待望の新作もあるとのことで、こっちも期待してます。愛してるよ、ミュージカル刀剣乱舞!!!