「歌合 乱舞狂乱」お芝居パートについて

歌合が終わってエーステ秋単が始まって、一方的に感情がジェットコースターなのですが、まずは歌合についてちゃんと振り返りたいな、と。初見の感想は年末に書き散らかしたのですが、

ucok.hatenablog.com

 

総括というかなんというか。ネタバレ含めた膨大な感想はいったいどうすれば……?って感じだったので、もうエントリごとにあれこれ分けて書いちゃいます。

 

ってことで、今回はお芝居パートについて。

歌合は複数の作家さんが参加してそれぞれの脚本を書いていたのですが、これが本当に面白かった! 本公演では味わえない、ミュ本丸の男士たちの姿。それぞれのお話について、感想をざっくりまとめていこうと思います。

 

1.【懐かしき音】

脚本:浅井さやか

「天地の 神を祈りて 吾が恋ふる 君い必ず 逢はざらめやも」

〈あらすじ〉

碁石のぶつかる音が”何か”を思い出させるのだけれども、それがいったいなんなのかを思い出せない石切丸。それぞれの男士が、自分が聞いたことのある音と重ねて記憶をたどる――。そんな中、もっとレッスンして高みを目指したいという篭手切江に、石切丸は「神様に頼ってみては?」とお百度参りを提案する。

 

●本丸の日常が垣間見えたエピソード。それぞれの音の記憶が、彼ら自身のアイデンティティと深くかかわっていて、ああ、キミならそう言うよね、とほっこり。そして、篭手切くんの「れっすんをしてさらなる高みを目指したい」という願いから始まったお百度参りだけれども、ラストで顕現した男士が江の刀たちだったのは偶然なのかそれとも……? お百度参りの間、倶利伽羅くんがずっと畑を耕してたのもブレなくて可愛かったです。そしてこの姿をむっちゃんはちゃんと見てるんだよな。にしても、囲碁をさす石切丸と鶴丸を見ている小狐丸、むちゃんこキュートでしたね……。

 

2.【根兵糖合戦】

脚本:畑 雅文

「世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ」

〈あらすじ〉

鍛錬に励む蜻蛉切のもとに、根兵糖(こんぺいとう)を求めて男士たちが次々にやってくる。貴重なものだから無駄に食べてはいけないと男士たちを諫める蜻蛉切。やがて疲れて眠りに落ちると不思議な夢を見て……。

 

●歌合のネタバレが解禁になった瞬間にトレンド入りした「こんぺいとう」は、このお話。セリフの9割が「こんぺいとう」なんですけど(盛ってないよ!)なにも考えず笑えて最高でした。生真面目な蜻蛉さんだからこそ、余計に愉快に感じちゃうんだよね。ふざけた話にめちゃウマの歌。タイトルが「CONFEITO」とかズル過ぎるでしょ! 

 

3.【にっかり青江 篝火講談~夏虫の戯れ~】

脚本:赤澤ムック

「夏虫の 身をいたづらに なす事も ひとつおもひに よりてなりけり」

〈あらすじ〉

播磨の国に左門という男がいた。ある日左門は、倒れていた宗右衛門という武士を助ける。回復した宗右衛門と左門は意気投合し、義兄弟の契りを交わす。しかし宗右衛門は故郷出雲の様子が気になり、菊の節句に必ず戻ってくると約束して出ていくが……。

 

●にっかり青江による講談。元ネタは上田秋成雨月物語」の中にある「菊花の約」というお話だそうです。あの広い会場で講談っていう画があまりにも衝撃すぎて、初見時はお話がミリも入って来ませんでしたw 2回目からようやく内容が入ってきたんですけど、とても美しく切ない物語でしたね。毎回ボロボロ泣いていました。にしても、あれだけ広い会場で、たったひとりでお話だけで魅せるって、どれだけの重圧だったんだろう……。荒木宏文という役者でなければやってのけられないような、すさまじいお芝居を観ることができてよかったです。すごいよあらやんさん……。

 

4.【梅 the Way】

脚本:川尻恵太

梅の花 折りてかざせる 諸人は 今日の間は 楽しくあるべし」

〈あらすじ〉

季節は梅の頃。明石国行が梅の花を眺めているところに、今剣がやってくる。明石は今剣に「梅の木にかかっている手ぬぐいを取ってほしい」と頼むが、今剣が手ぬぐいを取ろうとすると梅の枝が折れてしまう。正直に主に謝りに行こうとする今剣を明石は止める。するとそこに小狐丸が。明石は何かを思いついたようで……。

 

●青江の講談と対になるのが、古典落語のようなスタイルをとったこのお話。ただ、ひとりで話し続けるのではなく、本題がお芝居になります。失敗をごまかすためについた嘘でどんどん取り返しがつかなくなり……っていう噺で、ややもすればキャラ下げになってしまいそうな内容。でも、「これは作り話だから、2振りはこんなことしません」っていうフォローをきちんと明確に入れてくれたのでホッとしました。あくまでこれは作り話。閑話休題。By(梅) the wayってね。こんぺいとうかと思いきや、こっちが川尻さんの脚本だったのには驚きました。

 

★5と6は歌がなく、脚本家も明記されてなかったので御笠ノさんのホンだと思われます。

 

5.(畑のお話)

〈あらすじ〉

収穫のため畑にやってきた巴形薙刀。大きな葉を見つけ抜こうとするが、一人の力では抜けそうにない。大和守と陸奥守が手伝おうとするが、それでも抜けない。3振りは通りかかった大倶利伽羅を巻き込み、力を合わせて抜こうとする。

 

●むすはじ組のわちゃわちゃに巻き込まれる倶利伽羅くんがソーキュートだったのですが、ポイントはそこじゃなくてですね……ここで1話目の、倶利伽羅くんの畑仕事が回収されるんですよ!しかもちゃんとその様子を見ていたむっちゃんが、「おまんのおかげぜよ」みたいなことを倶利伽羅くんに言うんですよ。あああああああちゃんと見てる人は見てるのよね。そして、倶利伽羅くんが畑仕事に精を出すようになったのは、長期任務から帰ってきてからだということがわかります。そう、つまりはみほとせ後のお話なんですよ。吾兵……。なにげない物語だったのですが、優しさがつまっていて、ほろっとしました。

 

6.(徳川家と鯛の話)

〈あらすじ〉

三日月によって物部という役割を与えられた信康と貞愛。一見歴史修正に見えなくても、遡行軍からの攻撃の場合もあるという。そんな中、鯛を持った遡行軍が現れる。奴らが狙うのは家康の命。信康と貞愛は、物部としての使命を果たすために暗躍する!

 

●あおさくで明らかになった「物部」という存在を知らしめる……というような内容ではなく、もっとライトなコメディパート。みほとせ~あおさくで徳川家のことが愛おしくなっていたので、まるっと1話あるのが嬉しかったです。日替わりネタ何種類あったんだろう。アタシがみたのは鯛の夫婦、鯛の親子、だんごむしの3種類です。だんごむしって!wwwww

 

7.【美的風靡】 

脚本:三浦 香

「ぬばたまの わが黒髪に 降りなづむ 天の露霜 取れば消につつ」

〈あらすじ〉

湯上りに夕涼みをする和泉守、蜂須賀、青江。髪が長いと乾くのが遅いため、自然と集まることの多い彼らだったが、誰かが足りない。それは長期任務に出ている村正だった。一足先に帰ってきた青江は、村正からもらった椿油を髪に塗り、願掛けをしているのだという。蜂須賀と和泉守もその椿油をもらい、彼らの無事を祈るのだった。

 

●長野で見たときは衝撃でした。だって!軽装が!実装されてんだもん!!!!!!! やってくれるぜミュージカル刀剣乱舞よ。初めは兼さんと青江の2振りだけでしたが、はっちの軽装が発表されてからは、3振りとも軽装に。予想してたけどうれしかったよー。ガールズトークのような他愛のない話のなかに、さらっと込められる仲間を想う気持ち。察するに、あおさくの真っ只中だったんだろうね。出陣していない子たちは、こうやってそれぞれの無事を祈っているのかなって思ったら尊すぎて泣きました。泣いてたんです。泣いてたんですけど、突然現れ、何食わぬ顔でアコギを弾き始める堀川くんのせいでいろいろぶっ飛びました。土方組ほんとさあ~(いいぞもっとだ)

 

8.【小狐幻影抄】

脚本:白川ユキ

「二つなき ものと思ふを 水底に 山の端ならで 出づる月影」

〈あらすじ〉

それは満月がとても美しい夜。厠へ行こうとした明石は、月見をしている小狐丸に会う。小狐丸はある夜の不思議な出来事を思い出し、明石に語り聞かせる。自分と、もう一振りの小狐丸の物語……。

 

●「もう一振りの小狐丸」と言われ思い出すのは阿津賀志山異聞 巴里公演。小狐丸役の北園くんが網膜剥離になってしまい、フランスでの公演は声のみの出演。そして日本凱旋公演は代役を立てて行いました。そう、メタな意味でも、小狐丸はもう一振り存在していたんですよね。では、もう一振りの小狐丸とはいったい誰なのかーー。小狐丸の答えはこう。どちらも自分自身なのだ、と。この言葉に救われた人がどれだけいるのだろう。アタシもその一人でした。「表と裏」ではなく「表と面(おもて)」。どちらも小狐丸であることには変わりないんだよね。あの辛い出来事がこうやって物語のなかで美しく昇華されるだなんて。素敵なホンをありがとうございます……。

 

ってことでばばばばばーっとお芝居パート振り返りましたが、ほらねこれだけでだいぶボリューミー。あらすじとかいるの?って感じだけど備忘録も兼ねてるので。あとはちょっとした職業病です。

考察までたどり着けなかったのですが、各所で散々やられてるしな……。でも自分で感じた思いが他人の感想に乗っ取られるは嫌なんで、そのうちなんかのタイミングでドロップできたらいいなと思ってます。待て次号!(あるの?)